Art or business? / アートか商売か

Art or business? / アートか商売か

こんにちは。

ヴィンテージ手織りラグ専門店 Maison Étretatです。

今日は『アートか商売か』のお話です。

 

 きれいなものに真剣に向き合う時、必ずといっていいほど必要とされる判断があります。 

それはその作品を作る側か、それとも売る側かということです。

誰もがピカソのように才能を持ち、自己プロデュースも成せるかというとそれは難しい話です。

多くの人は2択を迫られます。

作家、アーティストとして作り、表現する人間になるか。またはそれを紹介する人間かです。

 

選んだのは商売

私は売る側、タイトルで言う"商売"を選んだ人間です。

自己表現を追求するタイプであっても、芸術作品を作ることよりもその流通に興味がありました。

どんな人が作って、だれが喜んでくれるのか。

作家の手を離れてからどのように価値が生まれるのかということです。

(※学生時代は美術の専門にいながらも、こんなことばかり考えていました)

 

 そして良いと思えるものが正当に評価されていないことに、勿体ないという想いを常日頃から胸に抱いていました。

私の知り合いには沢山います。

私なんかが到底及ばないような遥かに魅力的な才能。そんなタレントながらも、上手に自分を売り込めない人たち。才能から芽を背けて、自分を納得させる人たちが。

そのきらりと光る才能を知っている身としては、なんとももどかしい気持ちです。

 

ディーラーという仕事

正しくはアーティストかディーラーか。という問いかけが正しいのかもしれませんね。私はまぎれもなくディーラー(売る人)です。

人目に触れることで価値が生まれていくその様に、感動するタイプの人種です。

 

 こじつけて言うならば、その価値が生まれるプロセスが私にとっての自己表現。飾って売ったものを買ってもらう。その姿がまるでアート表現のようです。

ヴィンテージラグもお客様の手に渡るところまで責任を持つことで価値が高まると信じています。

 

落第生のレッテル

私は一般的に言うアーティストや作家にはなれませんでした。

先ほど少し注釈しましたように学生時代は美術をやっていたのですが、そこで既に結論が出ていました。

 

絵は下手くそ。

無難なものばかり作る。

創造性溢れるものが生み出せたことがない。

...。

落第生ですよね(^^;

周りにもよくうしろ指を指されていました。

 

どうしてこんなにも違うのでしょうか。

当時は悶々とする日々を過ごして、手探りで不器用に生きていました。

結論、自分の中に湧き出て来る情熱の矛先が作品づくりには向いていなかったのです。

 油絵の授業で手に取る絵筆、塑像の為のテラコッタ。

アーティストタイプの人なら筆、粘土をどうやって表現の手段にするかを考えると思います。

 

ところが私は

"これを使う人はどんな気持ちなんだろう、、?"

だとか

"結構手間が掛かるんだな、、"

だというように客観的にその現場で起こることを俯瞰して見ることしかどうしても出来ませんでした。

 

もう決定的な事実ですよね!

そのことに気付いた時、薄々わかっていたものの当の本人はとてもショックだったそうです笑

 

今やアートビジネスだとかアーティストマネジメントたる言葉がありますが、私が学生の時分は有識者だけの言葉でした。

書籍も最新のもので村上隆氏のものが発行されたくらい。(最先端のアートビジネス本でした)

美術を志して通う学校で、まさかアーティストタイプではないだなんて。

自分自身で一種のカルチャーショックでした笑

 

役割分担

社会はすべて役割分担で成り立つと思います。

作りたい人は作る。

伝えたい人は伝える。

売りたい人は売る。

ここにシンプルに向き合うことで、簡単に道筋が生まれました。

 

私のやるべきことは、上手に作品を作る人を紹介すること。

つまり商売として売ることです。

 

ここまで頭の中がたどり着けば、もう怖いモノなしです。

こうして紆余曲折しながら自分の役割を信じて歩んできました。

 

アートのように扱うラグ

 お会いした方にはお話したことはあるのですが、私はもともとアートを売る仕事に憧れていました。

アートディーラー(画商)です。

だけど面白いことに日用雑貨や暮らしの道具にも関心がありました。

プロの方々から言わせれば全く違う世界。

だけど若造だった私には全く同じに思えました。

 

アートと暮らしの道具が同じ?

この言葉にすら批判の声が挙がりそうです。

 

だけど私にはアートも人生の道具。

そしてお気に入りの日用雑貨や家具がある暮らしも広義の意味でアートそのものでした。

 

今でももちろん同じ立場です。

こうして今日も立つお店では、アートのようにラグを扱います。

手織りのラグは、工業生産のものや大量生産品とは異なり趣味趣向を込めやすいものです。

そしてヴィンテージ(年月の経ったもの)ですので、ひとつひとつの趣もあり魅力的です。

 

人生を彩るアート

"選んだあなたの人生もラグの歴史になる"

私はある現地の仲間からそう言葉を投げかけられたことがあります。

代々と伝わってきた文句のようです。言われた瞬間スッと胸に届いたことは忘れもしません。

 

私はこの地でまだ見ぬ誰かにそれを繰り返すだけです。人生そのものをアートに見立てるつもりです。

 

今日もここまでお読み頂きありがとうございました。

お店でお会いする機会もなかなか作れないので、少し自己紹介がてらお話をblogにまとめています。

 いつも本当にありがとうございます。

 

Maison Étretat | Sugibayashi Yusuke

Instagram @maisonetretat

 

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。