誰か1人の為の絨毯

誰か1人の為の絨毯

こんにちは。

今日は誰の為の絨毯かというお話しです。

当店をご利用の方はもうご存知ですよね。メゾン エトルタはいわゆる高級ペルシャ絨毯のお店ではありません。

シルクの高級絨毯が演出する素敵な空間はひとつ憧れではあります。

しかしそのような社会的な地位を象徴する絨毯ではなく、もっと個人的な趣味に偏ったものがメゾン エトルタの絨毯です。

私はこれを誰か1人の為の絨毯と呼びます。

主にトライバルラグが当店の絨毯。

 

それではどうぞ今日もお付き合いください。

 

絨毯の役割

絨毯は暮らしの道具です。たった一枚広げるだけで暮らしを簡単に彩ることが出来ます。

そしてインテリアで絨毯は主役にもなれる存在感です。

それだけインパクトのある暮らしの道具。

次に誰の為の絨毯か。というのも大切なテーマになります。

 

絨毯の役割

これを私は大きくふたつに分けています。

 

①社会的な地位や立場を象徴する絨毯

②誰か1人の為の絨毯

です。

 

何の為か?という絨毯の役割から考えると、自然と選ぶ絨毯も変わってきます。

お堅い企業の応接間に、遊牧民の温もりのある手織りラグがあったら違和感がありますよね。

また若いカップルのこじんまりとしたお部屋に煌びやかなシルクのペルシャ絨毯があっても不釣り合いです。

適材適所。絨毯にも役割があります。

 

①社会的な地位や立場を象徴する絨毯

→高級ペルシャ絨毯

②誰か1人の為の絨毯

→遊牧民の手織りの絨毯

簡単に私なりに分類するとこのような感じです。

 

高級ペルシャ絨毯

それぞれをもう少し踏み込んでいきます。

まず高級ペルシャ絨毯というと百貨店や老舗の絨毯屋などで目にするものです。

ご近所さんに尋ねると、その昔親の代で百貨店の外商さんから紹介されて買ったと言われます。

その昔は家電や車などと同じく、立場に合わせて選ぶステータスのような象徴でした。

念願のマイホーム!=高級絨毯!

こんな感じでしょうか^ ^

 

うんうん。

ウチにもあったなぁ。

実家のやつどこに閉まってたっけなぁ。

 

お店ではいつもこんな会話風景。

ご夫婦で顔を見合わせてお話しされています。

それだけペルシャ絨毯というのは、ある時代では当たり前の暮らしの道具でした。

 

これはペルシャ絨毯ですか?

とお店で開口一番お尋ね頂くのも、過去のペルシャ絨毯との思い出があるからだと思います。

それだけ世間に根ざしているってすごいですよね!

 

 以上、高級ペルシャ絨毯のお話しです。

 

遊牧民の絨毯

こちらになるともっと少数派ですよね。

街の民藝屋さんに並べてあったり、舶来品が好きな店主のインテリア店に飾ってあったり。

蚤の市なんかでちょこっと置いてたり。

旅先の海外で買い求めたものを自宅で使っているお家があったり。

日本ではなかなか目にする機会がないものでした。

 

画家や作家、ファッション関係のお仕事の方の私邸にさり気なく敷いてあるのを本や雑誌で目にすることは多少ありました。

異国情緒溢れる色、柄。

ただそこに存在するだけで個性を放つその様は、若かりし頃の自分にとっては強烈な印象がありました。

 

遊牧民の絨毯はとても個性的。

個人的な趣味の表現の対象となるような、プライベート色が強く反映される暮らしの道具です。

 一概に"これを敷いておけば大丈夫!"と言えないもの。だからこそ世の中に広まるまでに時間がかかったのかもしれません。

 

エトルタが選ぶもの

私は高級ペルシャ絨毯、遊牧民の手織り絨毯どちらも好きでした。

ただ身近さで言えば圧倒的に遊牧民の絨毯。

自分で買って、試して並べていくうちにどんどんとその世界にのめり込んでいきました。

 

特に今看板商品のように扱っているアンティーク絨毯に出逢ってからは尚更です。

正真正銘で一点もの。

"生まれた時からアンティーク"の言葉の通り、100年、200年残すつもりで作られたアンティーク絨毯は迫力が違いました。

 

選ぶウールの質

染色の美しさ

意匠の巧みさ

絨毯に込められた物語

遊牧民が織りなす人間模様もまた魅力となり、その手工芸品には価値がどんどん備わります。

 メゾン エトルタではイランから集めたアンティーク絨毯をもって、これから出逢う人皆んなに感動を提供したいと思います。

 

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iPhoneと対等?

 

例えは適切ではないかもしれないのですが、、、

私なりの意見を。

デジタル世代の暮らしの相棒iPhoneにも決して劣らない魅力がこの遊牧民の絨毯にはあると思っています。

機械ではまかなえない大切な部分が手織りのアンティーク絨毯には存在します。

 

手織り特有の歪みや癖。

感性に訴える色づかい、デザイン。

羊毛のぬくもり。

 

iPhoneがあれば何でも出来るかも!

初めてiPhoneというマシンを手にしたその時のワクワクした感動と同じ感覚がそこにはあります。

このアンティーク絨毯があれば理想的!

という感じです。

もちろんインパクトは同程度でも同じ価値ではありません^ ^

 

iPhoneでは補えない部分をこの手工芸品から与えてもらっているような気分です。

私なんて現状、iPhoneとアンティーク絨毯だけ使って生活しているようなものです笑

 

この絨毯さえあれば人生が変わるかも!

なんて感覚を覚えて貰えたならば最高に幸せですね。

 

このような例え話を出すくらい。

私にとって絨毯とカジュアルに付き合っていくことは大切なことです。

高尚な方からすれば変な例を持ち出すな!って思いますよねきっと。

でもそれが私のスタイルです。

 

誰か1人の為の絨毯

誰もが共感できる美しさではない。

そこが大切です。

 

作る側としては

様々な部族が特別な材料、意匠、物語を込めて織ります。

選ぶ側としては

その時その時の自分が何を必要としてるかは、個々人次第。

 

つまり目の前のアンティーク絨毯に心を奪われたならば、それはきっと自分の為に存在する絨毯だと言うことです。

 

私なんかが選んでいいんですか? 

アンティークを並べはじめた当初はこんな言葉によく出会いました。(もちろん今でも繰り返されます。)

これはアンティークの歴史や物語に触れて感動してくださったお客様からの言葉です。

この感性で相性を篩いにかける感じがたまりません。

 

綺麗、好きかも。

多くの方がここまでは到達します。

 

どうしても忘れられなかった。

一緒に暮らしたいと思った。

この段階まで辿り着く方は僅かなのです。

 

だから私は誰か1人の為の絨毯という言葉を繰り返します。

 

最近、感動することがなくなった。

そんな経験はないでしょうか?

私はそんな方にこそアンティーク絨毯探しをお薦めします。

恋人、結婚相手

またはお仕事仲間

そんな生涯続く運命のパートナーに出逢うような感覚。

これは経験したことのある人にしか語れません。

 

アンティーク絨毯だって簡単に運命の一枚に出逢うことなんて稀です。

だけど人と人との運命的な出逢いのように。

ひとりの人間と絨毯を繋いでいきたいと思います。

これからもずっと。

 

誰か1人の為の絨毯。

これは言わば私が毎日誰か1人を丁寧にお迎えするという意味でもあります。

人間味が溢れる手織りの絨毯。

せっかくなら一生の想い出となるようにお届けさせて下さいね。

 

感じることが出来たなら、それはきっとお客様の為のアンティーク絨毯です。

 

今日もここまでお読み頂きありがとうございました。

誰か1人の為の絨毯。

これを意識して絨毯を選ぶとまた視点が変わって良いですよ。

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