The power of the word. | 言伝のちから

The power of the word. | 言伝のちから

こんにちは。

ヴィンテージ手織りラグ専門店 Maison Étretatです。

今日のお話は、『言伝(ことづて) のちから』です。

 

ヴィンテージラグの世界においては、言伝(ことづて) で価値が受け継がれています。

現地の絨毯商から買う時、そのラグの歴史や価値は売り手の言葉から生まれます。

その人が判断して口にした言葉が、ラグの価値。

なんかスリリングですよね!!!

 

 

伝言ゲームで大丈夫?

伝言ゲームでしょ?

証拠は?!

どうも信用できないな。

こんな時代にそんなことあるんだな、、。

と私も初めての時はカルチャーショックでした。

 

ただそんな風に言いながらも、自分の生活を顧みるとどうでしょうか。

大切な事は何度も言葉にして、身体に染み付いています。

家のルール、会社のルール、人間関係のルールは意外と明文化されずに言伝(ことづて) で成り立ってはいないでしょうか。

 

きっと時代錯誤でもなんでもなく、ヴィンテージラグにおいては一番適した手段なのだと思います。

自分が大切にしてきたモノ。価値があるモノ。

そういったものは大切なパートナーに譲りますよね。

※歴史と伝統を重んじる工房などでは、品質を保証する為のタグや作家のサインを残すところもあります。ペルシャ絨毯などでは多く目にしますね。

 

言伝(ことづて) で価値が引き継がれているということは、それだけ大切にされているモノだという事。

その価値を引き継ぐ為には、ラグに沢山触れて目を肥していることが必要で経験値が全てです。

日々付き合いのある現地パートナー達には、そっぽ向かれないようにしなきゃいけないな。

と自己研鑽するしかありません。

 

そこには人が介在する

ネット社会が普及して、街のネットインフラも整ってきました。

そして買物が便利になった反面、人の気配がない売り場が増えました。

ポチっとボタンひとつで買える生活用品。

その画面の向こう側に沢山の働く人がいることは、なんとなく意識することが出来ています。

しかし、"見知らぬ誰かが頑張ってくれている" という程度です。

メールでやり取りして名前が添えられているならまだしも、人の表情に接することなく買物は終わります。

決まりきった言葉で買えるならば、不便がないからです。

そこには人が存在するのに。

 

人と接しなければ買えないモノ。

この数はかなり減ったように思えます。

家電屋やファッションビルのように、人がいたとしても煙たがられるような売り場は意味がないですよね。

 

人と接しなければ買えないモノ

と言うと表現は極端ですが

今も言伝(ことづて) で価値が伝承するヴィンテージラグの世界においては、人が介在する価値は残されているように思えます。

そしてそこに一生懸命に向き合うことでしか、

価値が生まれないからです。

 

言伝(ことづて) で出来ること

結局、私の仕事は言伝の仕事。

ラグの価値は現地から聞いた通りに、お客様に対してお伝えするようにしています。

ここで湾曲させると異なる商品になります^^;

 

"こちらは90-100年前のアンティークです。"

というと目の前のお客様にとってはそのラグが、アンティーク品となるわけです。

この瞬間、言伝(ことづて) で自分からお客様へ価値を受け継いだということです。

 

偽物かどうかは知った方の手に渡れば必ず判ります。

価値があるかどうかも同じくです。

 

情報が無いものは無い。

例えばこのように出自を辿ることしか出来ないラグなんかもあります。

アカデミックな人を不安にさせるそんなラグ。

細かく情報があるものよりも余計に信憑性のある商品だって存在するんですよ。

と私は厳しく教わりました^ ^

デザインの傾向や過去の履歴だけで語る事は出来ます。

しかしそんなラグこそ、自分の中に備わった経験則や直感に目を向けて向き合うべきです。

"良いものは良い"

"悪いものは悪い"

そうはっきりと言っていたいものですね。

 

私は高価なラグを選ぶ際には、必ず第三者の意見を貰うようにしています。

セレクトは私が良品だと思ったものを選びます。小さなショップなので全て自分で責任を持ちます。

それでも第三者(名の通った目利き) に対して意見を求めるのは、その選んだ理由を裏付ける言説を提供してくれるからです。

私の人生がいくつあっても足りない知見を

圧倒的な量と速度で提供してくれます。

こうしてラグが現地を飛び立つ前に、トレース(保険) をかけるのです。

 

言伝(ことづて) は経験がものを言う世界。

ある種作り手によって込められた価値を一端に引き受けたような気持ちになり、責任感でいっぱいいっぱいな時もあります笑

それでも間違いなく、この緊張感が売り場の価値にも繋がります。

 

こんな商品は初めて

私は小売業に従事して長いですが、

正直このような商品(ヴィンテージラグ) は扱ったことがありませんでした。

いちお客さんの立場で買物をしていた時には気付かないことが、お店をするとどんどん見えてきます。

 

ヴィンテージラグは趣向品でもあり、れっきとした日用品でもあります。

誰もが試してみても良い製品にも関わらず、一度も出逢わずに人生を生きていくことも出来ます。

そう考えますと、価値を伝える売り手の意味は大きく

責任も重大です。

 

『言伝(ことづて) のちから』

言葉で価値を繋ぐことに、是非目を向けてみませんか。

受け手であるあなたも価値を作る大切なひとりです。

 

今日もここまでお読み頂きありがとうございました。

お店でお会いする機会もなかなか作れないので、少し自己紹介がてらにお話をblogにまとめています。

 いつも本当にありがとうございます。

Maison Étretat | Sugibayashi Yusuke

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