First-class manners | 一流の条件

First-class manners | 一流の条件

 

 こんにちは。

ヴィンテージ手織りラグ専門店 Maison Étretatです。

 

皆さんはどんなものを一流とお思いになるでしょうか?

恥ずかしげもなく言うと、私のお店も一流を目指しています。

一流である事が商売のマナー。

 今日は『一流の条件』というお話です。

 

一流の人からの言葉

今でも鮮明に思い出されます。

27歳、8月の猛暑日。

高台寺石掘小路の料理屋さんへ夜な夜な呼び出された日のことです。

 

"君ね。大人になって三流でいたいなら、そんな風にずっと格好つけていなさい。"

言葉の主は京都でお世話になった文化人の方(以降Kさんとします)。

 

ある日私の至らない態度に見かねて、その方は言いました。

お店は割烹屋カウンター席。

すぐ隣には別のお客さん。目の前にはお店の主人がいらっしゃいました。

言われたその時は顔が赤くなってしまい、人目を気にしてその場を取り繕うのに必死だった記憶があります。

とても苦い経験でしたが、今となってははとても良い想い出です。

 

格好をつけることが三流?

普通のサラリーマン家系に育った私には、自分の人生ひとつで何か大きなことが成せるとは思っておらず

身の丈に合った仕事ぶりをしているべき。

どこか自分の中でそう言い聞かせて毎日の仕事をやり過ごしていたような気がします。

 

その誰かの仕事を手伝っている。

そんな態度に見かねて"格好つけている"とKさんはおっしゃられていたのです。

仕事のふりをしてるんじゃないか?

という意味合いでした。

 

結論を言うと、

もっと使命感で仕事をすべき。

 

という目が覚めるようなご意見。

そして優しいやさしいお説教でした。

 

__________________________

※当時を思い出せる限りで、Kさんの言葉で書きます。

 

自分の好きなことで仕事を始める。

それはもっともなこと。

自由な選択肢がある現代なら当然の権利。

 

だけどそれでは

自分を幸せにすることしか出来ないから、長続きしないだろう。

 

 (この辺りから私もかなり真剣に聴き入ってしまいます)

 

No.1になりたい。

と口にする奴は周りにどれだけいる?

そんな輩は放っておけばいい。

 

No.1になりたい。

そう軽々しく

あたかも自分の為にあるような言葉だと酔っているような人間には結局出来ることが少ない。

自分が一番になる為に、お客様や仲間を利用するような人間に過ぎないからだ。

 

まずはやるべきことをちゃんと考える。

きっとそれは世の中で解決したい課題のはずだ。

 

私(K氏) の場合は、文化を普及させること。

君にとっての課題は何だった?

 

会ったばかりの頃一生懸命に話してくれてたでしょうに。

それを思い出してやればいいだけですよ。

__________________________

 

と。

今こうして書き記すだけでも重みのある言葉です。

 

自分の課題

このお話の後、自分の行動が変わったのはお分かり頂けると思います。

もちろん20半ばの若造。

道に迷ってばかりで、なんとかして今に至っています(・・;)

 

時間が経って繰り返して繰り返して、わかったことですが

私の課題はKさんと同じでした。

"文化を普及すること"

 

舞台が違うだけで

やっていることは同じことでした。

Kさんは芸能。

私はインテリアという日常。

 

親から与えられた環境。

大切な身体。

言葉。

 

そんな自分をモノ(商品)とお客様の間に介在させることで、

相手の日常をどれだけ豊かにできるか。

それを考え続け、社会に貢献することでした。

 

一流の条件

何度かblogでもお話したことはあるのですが

私にとって一流というものはとても素朴なものでした。

 

昨日より今日、気付けるものがある日常。

水飲みグラスがひとつ変わることで得られる

"心地良さ"

ラグを一枚敷いただけで感じる

"快適さ"

など

 

誰もがすぐに変えられるような

日常の小さな変化に目を向けることでした。

 

一見簡単なようでなかなか出来ない。

それなら他人にお願いしようかな。 

なんていう対象の物事。

 

今晩は忙しかったし外食にしようか!

こんな選択肢と同じレベルの話が好きでした笑

大それたことを言わず、リアルな日常に目を向けた会話です。

 

この分野で一生懸命やってる人がいるならば

その人に頼んでみようかな。

"その人"になりたかっただけなのです。

 

スーパースターになりたいなんてもちろん無く。

もっと身近な困りごとに寄り添えるような仕事がしたいと思い続けてきました。

 

なぜならば小さな変化の方が

人の生活にとって幸せだと思っているからです。

 

大きな家具、高級な洋服

そんなものを手にした時はとても嬉しくなります。

だけど実は長続きはせず

 

夜寝る前に

明日の朝がいつものように始まる

このような景色を願っていたりはしないでしょうか?

 

宝くじが当たって世界一周旅行をしたりするよりも

ラグが新しく届いたことを喜んだり

パートナーや子どもたちが一瞬でも笑顔になる方が

私はとても幸せでした。

 

あくまでも私の価値観。その視点でお話しています^ ^

私のお店は

皆さんに文化をお届け出来ていますでしょうか?

 

私にとっての一流の条件は

"小さな変化を喜ぶ素朴な日常"

を理解していることです。

 

そしてこれは言葉にする以上に難しく

日々の積み重ねでしか成り立ちません。

 

一流の仕事をする為に

もう一流というのは、自分だけのテーマのような気がします。

 

倫理観があって。自分の言葉で話すこと。

自分に目を向けて、人と比べないこと。

誰かの為に生きること。

先述したKさんとのお話はこのように締めくくられます。

 

『一流の条件』

こんな青写真だけを掲げて

お店が成長することを願い、今日も店番をしています。

 いつかこれを読んでくれた方と会いできる日を願って。

 

 

今日もここまでお読み頂きありがとうございました。

お店でお会いする機会もなかなか作れないので、少し自己紹介がてらにお話をblogにまとめています。

blogでは私の話を中心にしています。人となりがお伝え出来ればと思っています。

いつも本当にありがとうございます。

 

Maison Étretat | Sugibayashi Yusuke

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